1年2組ならではの学習のあしあと。「知識の協働構築」の具体〜第1学年国語科「たぬきの糸車」〜

公開日: 2025年10月28日火曜日

今回ご紹介するのは、国語科・廣田健生教諭の実践です。
廣田先生は本校で国語科の研究を主に行っていますが、これまで算数科の研究にも取り組んでこられた大変研究熱心な先生です。写真の通り、優しい語り口で、かつ論理的にお話しされるので、いつも対話がとても楽しいです。

さて、タイトルにある「知識の協働構築」について少し述べます。次期学習指導要領の核心とも言える「中核的概念」は、現行指導要領との連続性を意識した記述になるよう検討されていますが、その中でも特に注目されているのが、この「知識の協働構築」です。秋田委員は検討資料の中で、次のように述べています。

「中核的な概念は、個別の宣言的な知識ではなく、より高次のメタ的な知識・概念である。しかし大事なことは、それを得ること自体よりも、知識・技能を統合していくプロセス、推理し関連付けながら知識を統合する、すなわち知識の協働構築のプロセスが重要であるというニュアンスが伝わることだと考えられる。」

私はこの「知識の協働構築」という言葉を、共に学ぶ過程で生まれる、その学習者集団ならではの“手垢のついた解釈”や“共感のあしあと”が大切である、という意味に読み取りました。まさにそのような学びの過程が、廣田先生の授業「たぬきの糸車」に見られました。
詳しくは、廣田先生による授業実践ブログをご覧ください。
👉 国語科授業ブログ

ここでは、私が見取った「1年2組ならではの学習の過程」について述べます。


第7時間目の授業冒頭では、「どうしてたぬきは糸車を回しにきたのだろう」という疑問が出され、それに「私も同じ疑問がある!」と共感が広がりながら、さまざまな考えを出し合う姿が見られました。
主な意見は2つ。「恩返しのため」と「回したかったから」というものです。子どもたちは、インタビューと劇を組み合わせた活動を通してたぬきの立場に立ち、自分の考えを確かめながら学びを深めていきました。

その中で、ある子どもたちから「練習」と「本番」という言葉が出てきました。

C:わなにかかるんじゃないよってにがしたところが、やさしかったって思ったから、仕事がなくなるようにしたんじゃないかな。
T:仕事がなくなるって?
C:やることなくなるし、練習もできるし。
T:みんな、恩返しって気持ちわかった?他にもある?
C:回したかったんだと思う。ここで練習してる。もし恩返しだったら、たぬきが練習してたところがなくなって…。普通にやりたかったんだったら、「うれしくて」もやりたくてやったからだと思う。

私は、この「練習」と「本番」という見方に驚き、しばらく子どもたちに置いていかれたような感覚になりました。しかし、子どもたちは納得した表情でうなずき合っていました。実際、その後のペア活動や振り返りでも、「練習」「本番」という言葉が多く使われていました。

意味を確かめるために廣田先生に伺ったところ、前の時間に、たぬきが糸車を回す場面を「おばあさんが回すのを見ている=練習」「自分で回す=本番」と整理し、たぬきの「糸車を回したい」という気持ちを表現していたとのことでした。

このように学習の履歴を積み重ねていくことで、1年2組だからこそたどり着いた学びのプロセスが生まれていることを実感しました。自分たちの言葉で考えを重ね、理解を深めていく――この営みこそが「知識の協働構築」なのだと思います。
そして、1年2組ならではの学びのあしあとこそ、共に学ぶことの意味であり、子どもたちにとってのかけがえのない宝物だと感じました。

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