柿原智明教諭(理科)の授業がありました。

公開日: 2024年6月21日金曜日

5月24日(金)に柿原智明教諭(理科)の提案授業がありました。



理科研究テーマ:自ら問題を追究する理科学習

単元名:つくろう!マイモビールキット(6年 てこのはたらき)

指導案はこちらから

https://elem.educ.kumamoto-u.ac.jp/令和6年5月 6年理科指導案/


概要:本単元では、加える力の位置や大きさに着目して、これらの条件とてこの働きとの関係を多面的に調べる活動を通して、てこの規則性についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成することをねらいとしています。


1 実践の主張

・これまで単元終末のみで行われることが多かった「モビールづくり」を単元の中心に据えました。そのようなものづくりをする中で、モビールをつり合わせるために「おもりをつるす位置」「おもりの重さ」に着目しながらてこのはたらきやもののつり合いについての理解を深めていく授業を構想しました。

・単にモビールをつくるだけでは、バランスをとることのみに終始してしまうことが考えられるため、今回は「モビールキットづくり」という活動を行いました。キットの中には説明書や完成図などを同封するように設定することで、モビールがつりあっている状態を図や言葉、数値で表現する状況をつくりだしました。



2 実際の学びの様子(4/9時間目)

① 子どもたちが自分たちの生活経験とつなげながら語る姿

これまでに子どもたちは、モビール作りをする中で左右の条件(おもりをつるす位置とおもりの数)が同じであればつりあうことには気づいていました。しかし、左右の条件が違ってもつり合っているモビールもあるという状態でした。これまでの学習を確認中で、おもりの重さとつるす位置について子どもたちが語る場面がありました。

T:モビールの条件が違ってもつりあうことがあったね。

しゅん:おもりの重さとつるす位置が関係している。

T:しゅんくんは「遠くなると重くなる」ということも言っていたね。

C:シーソーも!

C:重くはなっていない。力の強さが変わっている。

C:おもりの重さはかわっていない。移動したところで、おもりの物体がかわるわけではない。

T:この紙はこの紙のままだから、別に重くなったわけじゃない。シーソーっていう話もでてきたね。感覚わかる?

C:シーソーは軽い人は外にいくとつりあう。

T:そういう経験ある人?

柿原教諭は、子どもたちはら表出したシーソーという生活経験と目の前にあるモビールを関連づけさせながら、課題を立ち上げていきました。

自分の経験と自然事象を関連づけながら見ようとしながら発言する子どもの姿がとても素敵でした。また、その語る様子を見守りながら、全体にも「そういう経験ある?」と問い、全員が生活経験と結びつけることができるように働きかけていた柿原教諭の声掛けも素敵でした。


② 目の前の事象を単純化することで、見えてくる関係性

子どもたちは、これまでに2段にも3段にもなるモビールを作っていました。この様子からも、モビール作りに没頭している様子が伺えます。しかし、そのままのモビールをつかってつり合いの関係に迫るには、難しさがあると思います。そこで、柿原教諭は子どもの「調べる条件が違うと結果がわからない」という発言をもとに単純化したモビールで実験するという場を設定しました。

単純モビールは写真の通りで、「おもりをつるす位置」「おもりの重さ」に焦点化されており、もののつり合いの規則性に気付きやすくなっていました。

                 (↓単純モビール)




また、実験した結果をホワイトボードに書き残すようにしていたことで、子どもたちが結果をもとに自然と考察に向かっていく姿がありました。その様子は、次の③で詳しくご紹介したいと思います。


③ 実験結果から、考察に向かう子どもの姿

実験を終え、結果をまとめたホワイトボードを黒板に貼り、全体で気付きを交流する際に以下のようなやり取りが見られました。

T:それぞれの結果はどうなりましたか?

C:だいたい一緒。

T:モビールの左側の2の位置におもりを3つり下げる(単純モビールの条件)はそろっているね。何か関係はあったかな?

C:(支点から遠くなるにつれ)おもりの数がへってきている。

C:正確にはわからなくて、他の班では4めもりで1つのおもりとかもある。

T:めもりが4になると、おもりの数が減っている?

C:支点からの距離が遠ければ遠いほどおもりの数が少なくてもつりあう。

C:けど、減り方が違うね。

C:4班は1ずつ減ってきている。足して5になるとつりあうのか気になってやってみたけどつりあった。

C:いや、足し算じゃなくて、掛け算だと思う。でも、結果にばらつきがあるね。

T:足し算の関係と掛け算の関係がありそうなんだね。どっちが正しいか調べるにはどうしたらいいかな?次の時間に調べていこうか。



それぞれの班での実験結果を持ち寄り、そのデータをもとに対話する姿がありました。いままで無自覚だった感覚的に行なっていた自然事象の規則に改めて出会い直し、本当に問いをもった瞬間だったように思います。実験の結果をホワイトボードに図のみで整理したことで、考察に「曖昧さ」が残りました。しかし、この「曖昧さ」によって複数の条件を関係づけてながら、多面的に考察しようとする姿が生まれたのだと思います。たしかに、教師が表で整理するように促せば、ひょっとしたら、すぐにつりあっているときのおもりとめもりの関係を見つけることができたのかもしれません。しかし、教師からいきなり「表」が出されるのにも違和感があるように思います。今回のように子どもたちの考察のずれを埋めるために「表」で整理するということを、子どもたち自身が納得することで、「表で整理するとよりわかりやすく考察することができる」という結果の整理の仕方も学ぶことができると思いました。


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