髙田実里教諭の外国語実践をご紹介します!
公開日: 2021年8月12日木曜日
1学期に本校外国語科の髙田実里教諭に研究授業を行ってもらいました。
単元名は以下の通りです。
単元名:Let`s Make and Send an Original Kumamoto Map!
~オレゴンのPen Palが訪れたくなるOriginal Kumamoto Mapを送ろう~
概要 :子どもたちは,1年間を通してオレゴンの小学生と文通します。その中で今回は,オレゴンの小学生に熊本の魅力が伝わるような熊本の地図を作ります。子どもたちは,自分のペンパルが好きだと言っていることを思い浮かべながら,友達が知っている熊本の魅力的な場所を紹介してもらい,自分のオリジナル熊本マップを完成させていきます。
指導案はこちらをクリック(ダウンロード可)
※子どもの名前は全て仮名です
1 英語と他者に対するポジティブな姿
髙田先生の自然な英語での語り口と,柔らかい表情によって外国語の研究授業はいつも心地よい空間の中で授業が進行していきます。「コミュニケーション」を教科の中核に据える外国語の授業を行う上で,このような非言語的コミュニケーションの様相を教師が示すことは授業の大前提になると思います。
そのような環境で昨年度1年間過ごしてきた子どもたちは,英語を使う事だけではなく,友達とコミュニケーションをとること自体に積極的であり,そのスキルも高いなと感じました。例えば,髙田先生が「オレゴンの友達が楽しめるための工夫は?」と発問されたときのしょうさんとゆりこさんのやりとりにその一端が見えました 。
しょう:去年の学習でおすすめのものを紹介したときに,先に相手が辛いものが好きかどうか聞いてからキムチなどを紹介したので今回もそうした方がいいと思います。
ゆりこ:しょうさんが言った方法もいいと思うけど,今回はオレゴンの人に実際に聞くことはできないから手紙から予想してやり取りをした方がいいと思います。
しょう:私が言いたかったのは聞いて好きなものを出すのではなくて,「じゃあこっちはどう?」と選択肢を作っておけばいいっていうことです。
このやり取りの中に次の3つのよさがあったと感じました。
① 昨年度の授業での学びを生かそうとする姿があったこと。
② 「しょうさんが言った方法もいいと思うけど」と一度肯定的に友達の意見を受け入れてから反対の意見を言うことができていること。
③ 反対意見を言って良いという学級の空気とそれに対する返答を更に明確に言ったしょうさんの姿。
良い授業は良い学級経営から。(逆もまた真なりですが)卵が先か鶏が先かは置いといて,「英語」という不安要素を感じさせない学級(子ども)の雰囲気が素晴らしいなと感じました。
2 熊本マップを作るという言語活動について
今回の熊本マップを作るという言語活動は率直に言って面白かったです。しかもそこに,オレゴンの小学生との文通が背景としてあり,相手意識が明確である上に,英語を使う必要性にもつながります。また,長期的に活動が関連付いていくというわくわく感やスパイラル感があります。
また,「外国の方と交流すること」が目的化してしまい,学習内容は何だったのか分からない授業(いわゆる活動あって学び無しの授業)を見ることもあります。しかし本実践は,オレゴンの小学生はあくまでも「相手意識」であり,「『言語活動』を通して学ぶ」というスタイルを示すことで,子どもたちは本単元で学ぶべき言語材料を駆使しながら学習を進めることができていました。以下に素敵だった子どもたちのやり取りの様子を紹介しておきます。
れいこ:Do you like castle?
さちよ:Yes.
れいこ:We have Kumamoto Castle in Kumamoto. It’s big. It’s beautiful.
さちよ:何が見える?
れいこ:You can see しゃちほこ・・・。しゃちほこってなんて言うんだろう?
さちよ:しゃちほこ・・・何だろうそれも英語でいえるかも。Do you like 自然?自然は?先生に聞きに行ってみよう。(授業者に聞きに行く)
この後、さらに次のようなやり取りを続けました。
さちよ:Hello. Do you like nature?
れいこ:Yes.
さちよ:We have 白川水源 in Aso. You can see beautiful
river. It’s so beautiful.
れいこ:Do you like aquarium?
さちよ:Yes.
れいこ:We have シードーナツ in Amakusa. You can see watching dolphin.You can play 餌やり。餌やり?魚に餌をあげるって?fishに餌をあげるから・・・
さちよ:ご飯はfoodだから・・・
れいこ:fish food?あげるは渡すだから・・・。聞きに行こう。(ALTに聞きに行く)
子どもたちも活動自体が楽しいので,とても積極的に取り組んでいました。「Do you like」から始まり,「you can see」を用いたやり取りが行われ,英語による表現をより高いものにしていこうという姿がとても素敵でした。星の数による相互評価も効果的に行われていたと思います。今日の授業が「つまらなかった」と答える子どもはまずいないと思います。我々が目指している授業における「活動」は子どもたちにとって「楽しい」ものであることが大前提であると改めて感じることができました。
以上,髙田先生の授業からは,授業における教師の立ち振る舞いの大切さや,学級の風土作りの大切さと,子どもたちが学びを進める中核となる「活動」の在り方について多くの学びをいただきました。
ブログでは中々伝わらない部分が多く,詳細が分からなかったかと思います。もし本実践や本校の研究に興味のある方は,ご質問やご意見などを下記までお寄せ下さい。いつでもご連絡をお待ちしております。
熊本大学教育学部附属小学校
096-356-2492
外国語科 髙田実里教諭
tmisato@educ.kumamoto-u.ac.jp
研究部長 大林将呉
shogo@educ.kumamoto-u.ac.jp
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