粘り強くともに学子どもの育成(2年次)の研究紹介

公開日: 2019年8月28日水曜日

今年度、研究部長になりました国語科の中尾聡志です。

少し遅くなりましたが、今年度の研究内容について書かせていただきました。

下の内容は、本校が発行している「熊大附小だより」に書いたものです。

少し文量が多いのですが、これから求められる授業像についても触れております。

ご一読いただけると幸いです。



粘り強くともに学ぶ子どもの育成を目指して


研究部長 中尾聡志


1.「令和」の時代を生き抜くことのできる子どもの姿とは

 5月1日から元号が「平成」から「令和」へと変わりました。文字通り新しい時代が幕を開けたのです。この「附小だより」を手に取られた先生方は,そのような「新しい時代を生き抜くことのできる子どもの姿」を,どのように捉えていらっしゃるのでしょうか。一度,一緒に研究を進められている先生方とお話しされてみるのも面白いかもしれません。ここでは,2人の子どもの姿を想定して,考えてみようと思います。
私の目の前に2人の子どもがいたとします。1人の子どもは,たくさんの知識を身に付けさせてもらってきました。学校の先生や自分の周りにいる大人の人たちは,たくさんの知識を与えてくれます。準備された本などは示された順番に読み,勉強も次に何をすればいいのか示してもらえるので,何でも知っています。どうすればいいのかも,そのコツを大人たちは丁寧に教えてくれるので,教えてもらったことはしっかりとできます。そのような知識と技能を豊富にもっているからこそ,その子には自信があります。自分の豊富な知識や技能に支えられた自信があるので,その姿は堂々と生きている子どもの姿と言えるでしょう。
もう一人の子どもは,学び方を知っていました。学び方だけではありません。自分がもっている知識をどのように活用すればいいのか,考えて実際に行動することのできる力をもっていました。だから,目の前に現れた問題が,自分の知識では解決できないと感じると,解決するために必要な知識を粘り強く学び取ろうとします。持っている知識や技能の量は,1人目の子どもよりも豊かではないかもしれませんが,その問題を解決したり,その問題に対する自分なりの考えを創り出したりするために,全力を尽くす力を身に付けてきていたのでした。
さあ,このような2人の子どもがいたとしたら,どちらの子どもが新しい時代を生き抜くことができると言えるのでしょうか。
新しい時代には予測困難な状況が生まれます。答えなき時代がやってくるのです。当然,豊富な知識をもち,堂々と生きる子どもの目の前にも,その子も知らないような未知なる問題が迫ってくるでしょう。人口増加,食糧問題,自然破壊と工業発展のバランス等,私たち大人でも経験したことがない問題を解決しなければならない状況に、直面していくことになるのです。そのような時,子どもがどのように対応し,どのように生き抜いていこうとするのかが重要になると考えます。
もしかしたら,豊富な知識をもっているだけの子どもでは,目の前の問題に対応できないかもしれません。正しい判断をしようにも,自分の知らない問題であるために,解決の糸口がわからないのです。つまり,知っていることには対応できるけれど,知らないことに対応できる力がそだてられていないのです。そのような,ただ,知識を豊富にもっているだけの子どもでは,新しい時代を生き抜くことはできないと思いませんか。そうです。これからの時代を生き抜くことできる子どもの姿とは,豊富な知識をただもっているだけの姿ではないのです。
新しい時代を生き抜くことのできる子どもとは,自分の未知なる問題に直面しても,その問題を打破することのできるように,新たな知識や技能を,学び取ろうとします。そして,自分の学びを通して習得した力を活用して,思考し判断し表現しながら問題を解決していくのです。きっと,そのような力のある子どもには,粘り強さがあります。未知なる問題に対面しても,何度も粘り強く問題解決しようとし続けることができるのです。自分の成功体験に支えられて,知識・技能を活用していくことに,高い意欲をもっているからです。このような力を身に付けた子どもこそ,これから訪れる新しい時代を生き抜くことのできる子どもであると私たちは考えています。これこそが新学習指導要領改訂の方向性に示された「何を知っているか」だけではなく,「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何ができるようになるのか」ということなのだと考えます。

2.求められる「主体的・対話的で深い学び」の姿

 文科省の資料を見ても,書店の本棚を眺めると,たくさんの本の背表紙に「主体的・対話的で深い学び」という言葉が並んでいます。この文言は,ここ数年ずっと取り上げられてきました。それは,この「主体的・対話的で深い学び」を実現することが,子どもたちに新たな時代を生き抜く力を身に付けることになるからです。
「主体的学び」とは,意欲的な学びではありません。見通しをもって問題解決に取り組み,次々生まれる問題に粘り強く取り組み,そのような学びを振り返り,次の学びに活かしていこうとするものです。
「対話的な学び」とは,活発に話し合いをする学びではありません。話し合いをすることで,自分の考えを広げたり深めたりすることのできる学びです。
「深い学び」とは,言葉の意味はよくわからないが,なんだかすごい学びなどではないのです。知識を関連づけ,事故の考えを形成しながら,問題を見いだして解決策を考える学びです。その結果,思いや考えを基に新たな意味や価値を想像する学びなのです。しかし,そのような深ま学びを生み出すために,重要になるのが,次項に取り上げる「見方・考え方を働かせた学び」なのです。

3.キーワードは「見方・考え方を働かせる」

 この「見方・考え方」の前には「各教科等の特質に応じた」という言葉がつきます。各教科によって,働かせるべき「見方。考え方」は異なります。国語ならば「言葉による見方・考え方」,算数ならば「数学的な見方・考え方」道徳科ならば「道徳化における見方・考え方」です。この見方・考え方を働かせることは,各教科等の本質に迫った学びを生み出すことにつながります。そのような各教科等の「見方・考え方」を働かせることのできる学びを実現するための手立てを,今年度研究して舞います。
 「令和」という新しい時代を迎えた今年度,私たち熊本大学教育学部附属小学校は,文科省の研究委託校の最終年度を迎えます。昨年度より積み重ねてきた「主体的・対話的で深い学び」についての研究成果を土台にして,今年度は「見方・考え方」を働かせた学びの具体的な姿を研究してまいります。その研究の成果を,今年度は2月7日(金)と8日(土)の研究発表会にて,ご提案させていただこうと考えております。最終年度の発表会だからこそ,例年とは異なる二日間の研究発表会の開催を実施します。本校の各教科の教諭が,一年間の全力をかけて明らかにしていった研究内容が,全教科で発表します。たくさんの先生方のご参加をお待ちしております。
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