子どもが夢中になる「真正の学び」を求めて

公開日: 2018年6月13日水曜日


研究部長 宮原 大輔
1 これからの社会で生きて働く力
 知識基盤社会と言われる21世紀。グローバル化やAIなどの技術の進歩といった社会的変化は加速度を増し,予測困難な社会になってきています。これまでの「何を知っているか」という,知識量を増やすだけの教育では,獲得した知識が学校の中だけでしか通用しないため,変化の激しい社会においては使えないものとなってしまいます。そのために,私たちは,この「何を知っているか」だけではなく,「どのように学ぶのか」「何ができるようになるのか」という資質・能力の育成を目指した教育に取り組んでいます。
予測困難な社会を生き抜く力をもった子どもを育てていくためには,獲得した知識・技能を駆使しながら,他者と協働的に問題解決を行なっていくことができるような「真正の学び」を追究していくことが欠かせません。
そこで,私たちは,「真正の学び」を実現するために,現実の世界に存在する本物の実践にできるだけ文脈を近づけて学びをデザインしてきました。そうすることで,学んだ知識・技能は本物となり,これから出合う問題状況に対しても柔軟に対応できる,まさに生きて働く力となると考えたからです。
2 子どもとともに学びをつくる 
「真正の学び」を実現するために,具体的な取り組みとして,次のことを行ってきました。
まず,子どもが夢中になって学びに向かうためには,目の前の課題に対して「何とかして解決したい」という切実感をもたせることが必要です。そのために,実際に生活や社会で直面する,できるだけ本物に近い状況に即した問題場面を設定し,単元を構成します。その際に,子ども自身が何を解決していけばよいのか,どのような方法で解決していけばよいのかといった見通しを明確にもたせることが大切です。そして,学習を進めていく中で,子どもは何を解決したいと思っているのか,何につまずいているのかという子どもの見取りを丁寧に行い,子どもの思考の流れを大事にしながら,単元を柔軟に修正していきます。
 次に,主題を単元のゴールまで粘り強く追究していくためには,質の高い課題であることが欠かせません。そこで,授業の中で生まれる子どもの「問い」や「つまずき」に着目しながら課題を設定していきます。そうすることで,自分とは違った考えをもつ他者との豊かな「対話」を促し,「納得のいく表現がしたい」という子どもにとって表現する必要性を生み出すことができるのです。
 そして,子どもが学習の中で獲得した知識・技能は,その単元にとどまるものであってはなりません。そのため,授業の終末や単元末に振り返りの場を設定し,子どもがどのような学びの中で新たな知識・技能を獲得し,それをどのように活用しながら課題を解決してきたのかを表現させていきます。
3 「主体的・対話的で深い学び」の姿 
このような「真正の学び」の実現を目指して研究を進めてきたことで,夢中になって課題を解決していく姿や,他者と対話しながら新たな知を構成していく姿,既有の知識と新たな知識を関連付けたり,組み合わせたりしていくことにより,新たな発見や意味を生み出す姿が見られるようになりました。これらは,まさに今言われている「主体的・対話的で深い学び」の具体的な姿ではないかと考えます。
昨年度は,各教科等の本質に迫る「深い学び」の在り方について研究を進めました。本年度は,さらに,「深い学び」の具現化に向け,各教科等の「見方・考え方」を働かせるための方略を明らかにしていきます。
夏の実践研修会や2月の研究発表会では,子どもの姿を通して「主体的・対話的で深い学び」の在り方について提案できるよう研究を進めていきます。

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